オシロスコープ・プローブを選ぶには?
最適なプローブを選ぶには、まず測定しようとする信号を理解することが必要です。測定するのは電圧なのか、電流なのか、その両方なのか、周波数はどの程度なのか、信号の振幅はどのくらいか、 被測定デバイスのソース・インピーダンスは低いのか、高いのか、差動で測定する必要性はあるのか。これらを理解することで、テクトロニクスが提供している豊富なプローブの中から最適なものを選択することができます。
オシロスコープ・プローブの種類と特徴
テクトロニクスでは、お客様の測定の課題を解決するために、さまざまなオシロスコープ・プローブをご用意しています。
- 受動プローブ(パッシブ・プローブ)
- アクティブ・プローブ(FETプローブ)
- パワーレール・プローブ
- 差動プローブ|低電圧
- 差動プローブ|高電圧
- 電流プローブ
- 高電圧プローブ
- IsoVu絶縁プローブ
- 光プローブ
各プローブの特徴を以下に示します。
受動プローブ(パッシブ・プローブ)
受動プローブはほとんどのオシロスコープに標準で付属している、低コストで汎用的なプローブです。一般的に、受動プローブはアクティブ電圧プローブほどの性能はありませんが、堅牢性に優れており、さまざまなアプリケーションの信号観測に適した広いダイナミック・レンジを備えています。
テクトロニクスの受動プローブ・ソリューション
- クラス最高の周波数帯域:1GHz
- プローブ負荷の影響を抑える、クラス最小の入力容量:3.9pF
- 長いグランド・リードを接続した場合でも性能低下を最小限に抑える、クラス最小の入力容量
- 調整用ドライバが不要な、自動プローブ補正機能
アクティブ・プローブ(FETプローブ)
アクティブ・プローブは一般に、12Vまでの高速、グランド基準の信号の測定で使用します。このようなアクティブ・プローブは、小さなプローブ負荷が求められるハイ・インピーダンス、高周波数の回路エレメントの測定に最適です。回路に及ぼすプローブ負荷の影響を最小限に抑えるため、入力容量の小さなプローブ(約1pF)を選ぶ必要があります。低入力容量のプローブは、高い周波数で大きな入力インピーダンスになります。
テクトロニクスのアクティブ・プローブには、以下のような特長があります。
- 最高周波数帯域: 4GHz
- 非常に大きな入力インピーダンスと低入力容量(1pF未満)
- 豊富なプローブ・アクセサリによる最適な測定
パワーレール・プローブ
パワーレール・プローブは、-60~+60VDCのDCパワーレールのリップル測定に適した低ノイズ、高オフセット・レンジを備えたソリューションです。テクトロニクスのパワーレール・プローブは、最高4GHz、200μVp-p~800mVp-pのACリップル測定に必要な、業界トップクラスの低ノイズ、高オフセット・レンジ性能を備えています。
主な仕様
- 300μVp-p未満のノイズ(6シリーズMSO、20MHzの帯域制限)
- 1.3mVp-p未満のノイズ(6シリーズMSO、全帯域)
- オフセット・レンジ:±60V
- オフセット設定誤差:±2mV(最大値)、±0.4μV(代表値)
差動プローブ|低電圧
ハイスピード・シリアル規格で使用される差動シグナリングでは、非常に正確な特性評価が必要になります。テクトロニクスの低電圧差動プローブには業界トップクラスの周波数帯域性能と信号忠実性があり、信号の細部まで確実に観測することができます。テクトロニクスのTriMode™アーキテクチャは、1本のプローブ、1回のプローブ接続で差動測定、シングルエンド測定、コモンモード測定が行えます。
差動プローブ|高電圧
高電圧差動プローブは、2つのテスト・ポイントのいずれもグランドがない場合の、2つのテスト・ポイント間の差動電圧の測定で使用します。テクトロニクスの高電圧差動プローブは、6000Vまでの信号測定で使用できます。コモンモード除去性能が優れているため、主に非グランド基準の測定、フローティング測定、または絶縁測定に適しています。このプローブは、テクトロニクスで設計、製造、修理を行っています。
テクトロニクスの高電圧差動プローブには、以下のような特長があります。
- クラストップの周波数帯域とプローブ負荷
- UL、CSA、ETLの安全認証を取得した唯一の製品群
- ダイナミック・レンジ、測定分解能の要件に対応した、高電圧、中程度の電圧対応製品
- 豊富なプローブ・アクセサリ
電流プローブ
テクトロニクスの電流プローブには、以下のような特長があります。
- 広い測定レンジのAC/DCと、ACのみの電流プローブ
- 測定範囲:μA~2000A
- クラストップの周波数帯域:最高120MHz
- クラストップの電流クランプ感度:最高1mA
- UL、CSA、ETLの安全認証を取得した唯一の製品群
- 裸電線の電圧定格を持つ、唯一の製品群
- テクトロニクスのオシロスコープで使用した場合は自動リードアウト/スケール機能が有効になるため、手作業による電圧から電流へのスケール変換が不要
高電圧プローブ
高電圧シングルエンド・プローブは通常、40kVまでのグランド基準の信号測定で使用します。しかし、グランド基準でない、絶縁入力またはフローティング入力の測定のために設計されたシングルエンド・プローブもあります。プローブの入力容量が小さいと高い周波数において大きな入力インピーダンスとなるため、プローブが回路に及ぼす影響を抑えるためにも、入力容量の小さな(4pF未満)プローブを選ぶ必要があります。
テクトロニクスの高電圧プローブには、以下のような特長があります。
- クラストップの周波数帯域:最高800MHz
- 小さな入力容量(最小1.8pF)による、クラストップの回路負荷
- UL、CSA、ETLの安全認証を取得した唯一の製品群
- 豊富なプローブ・アクセサリ
IsoVu絶縁プローブ
IsoVu絶縁プローブは、今日のパワー測定の問題に対応したツールであり、業界トップクラスの周波数帯域1GHz、コモンモード除去比160dB(1億:1)、コモンモード電圧60kV、差動電圧レンジ±3300V、さらに優れたプローブ負荷性能を備えています。
パワー設計の恩恵は、スイッチング回路、ゲート・ドライブ回路、レイアウトなどが正しく設計され、最適化された場合にのみ得られます。IsoVu絶縁プローブは、以下のような用途で使用できます。
- ゲート・ドライバ、Vgs、Vds、Isの特性評価
- ハイサイドとローサイドのイベントの時間間隔の特性評価
- スイッチング特性の最適化と調整
光プローブ
DPO7OEシリーズ光プローブは、DPO70000シリーズ・リアルタイム・オシロスコープと組み合わせて使用することで、400G PAM4信号(最高56GBd)をトラブルシュートする設計エンジニア、製品の市場投入を急がれるエンジニアに、高性能で優れたデバッグ機能を提供します。また、フラットな周波数応答を持ったO/Eコンバータとしても利用でき、DPO7OE1型では33GHz、DPO7OE2型では59GHzの汎用信号取込みで使用できます。
- 高性能リアルタイム・オシロスコープで使用可能な汎用性に優れたモジュラ設計
- 広範囲な波長とFC/PC、FC/APCコネクタのオプション
- PAM4、PAM2(NRZ)の詳細な光信号解析とエラー検出
- 選択可能な光リファレンス・レシーバ(ORR)