はじめに
パワー・エレクトロニクスで使用される半導体材料は、シリコン(ケイ素)からSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)などのワイド・バンドギャップ半導体に移行しつつあります。SiCやGaNは、自動車や産業分野のアプリケーションにおいて、優れた性能を示しています。GaNやSiCを使用することで、設計はより小型に、高速に、効率的になります。高電圧のパワー・エレクトロニクス設計では、規制、経済的な観点からより高い効率が求められています。小型、軽量設計によるパワー密度の利点は、スペースが限られている場合や電気自動車などのモバイル用途で明らかですが、コンパクト・パワー・エレクトロニクスはシステム・コストの削減という観点からも、より広い分野において魅力的です。また、行政による財政刺激策、より厳格なエネルギー効率規制の導入により、効率はより重要になっています。EU(European Union)のEco-design Directive(エコデザイン指令)、米国エネルギー省の2016効率規格、中国のCQC(China'sQuality Certification)など、国際的な機関が発行するガイドラインは、電気製品/機器のエネルギー効率要件を管理しています。パワー・エレクトロニクスにおけるエネルギー効率向上のニーズは、図1に示すように発電からその消費まで拡がっています。電力の変換は、発電、送電、消費のさまざまな段階で行われますが、どの過程でも100%の変換効率はないため、各段階でいくらかのパワー損失が発生します。主に熱としてのエネルギー損失であるため、すべての過程でこの損失を抑えることで全体の効率はさらに向上します。[1]
図1.発電、送電、消費の各ポイントにおける電力の損失 [1]
パワー・コンバータを設計する場合、図2のような0%の電力損失が理想です。
図2.理想的な電力変換効率 [1]
しかし、スイッチング損失は避けられません。このため、設計の最一般的なコンバータの効率は87~90%であり、その場合、入力電力適化では、この損失が最小になるようにします。効率に関係する設の残りの10~13%は、コンバータ内部において主に熱として消費さ計パラメータは、厳密に測定する必要があります。れることを意味します。この損失のほとんどは、MOSFETやIGBTな
どのスイッチング・デバイスで発生します。[2]
図3.理想的なスイッチング
理想的なスイッチング・デバイスは、図3に示すようにオンまたはオフの状態であり、この二つの状態を瞬時に切り替えます。オンの状態ではスイッチのインピーダンスは0Ωであり、流れる電流がどんなに大きくても、スイッチではいかなる電力も消費されません。オフの状態ではスイッチのインピーダンスは無限大であり、電流はまったく流れず、いかなる電力も消費されません。
実際には、オンからオフ(ターンオフ)、オフからオン(ターンオン)のトランジション(遷移期間)において電力が失われます。これは、回路内にある寄生要素が原因で発生します。図4に示すように、ゲートの寄生容量のためにデバイスのスイッチング速度が低下し、ターンオン、ターンオフの時間が延びます。ドレイン電流が流れると、MOSFETのドレインとソース間にある寄生抵抗で電力が消費されます。[2]
図4.A:回路図におけるMOSFETの表し方。B:回路から見たMOSFET
さらに、MOSFETのボディー・ダイオードの逆回復損失も考慮する必要があります。ダイオードの逆回復時間は、ダイオードのスイッチング速度の指標となるため、コンバータ設計におけるスイッチング損失に影響します。
したがって、設計エンジニアは、スイッチング損失を最小限に抑え、より効率的なコンバータを設計するため、すべてのタイミング・パラメータを測定する必要があります。
MOSFETやIGBTのスイッチング・パラメータを測定するための優れたテスト方法の一つが、「ダブル・パルス・テスト」です。このアプリケーション・ノートでは、ダブル・パルス・テストとその方法について説明します。実際には、テクトロニクスのAFG31000シリーズ任意波形/ファンクション・ジェネレータによるパルスの生成方法と、4/5/6シリーズMSO(ミックスド・シグナル・オシロスコープ)による重要なパラメータの測定方法について説明します。
ダブル・パルス・テストとは
ダブル・パルス・テストとは、スイッチング・パラメータを測定し、パワー・デバイスの動的な振る舞いを評価する方法の一つです。このアプリケーションでは、以下のようなスイッチング・パラメータを測定します。[3]
.ターンオン・パラメータ:ターンオン遅延( td(on))、立上り時間(Tr)、ターンオン時間(t on)、オン・エネルギー( Eon)、dv/dt、di/dt。以上から求めるエネルギー損失。[4]
.ターンオフ・パラメータ:ターンオフ遅延( td(o ff))、立下り時間(Tf)、ターンオフ時間(t off)、オフ・エネルギー( Eoff)、dv/dt、di/dt。以上から求めるエネルギー損失。[4]
.逆回復パラメータ:trr(逆回復時間)、I rr(逆回復電流)、Q rr(逆回復電荷)、 Err(逆回復エネルギー)、di/dt、V sd(順方向電圧)[4]
このテストは、以下を目的として実行します。
.MOSFET、IGBTなどのパワー・デバイスの仕様を確認する
.パワー・デバイス、またはパワー・モジュールの実際の値または偏差を確認する
.さまざまな負荷条件でこのパラメータを測定し、多くのデバイスでの性能を検証する
代表的なダブル・パルス・テストの回路を図5に示します。
図5.ダブル・パルス・テストの回路図
テストでは、誘導性負荷と電源を使用します。インダクタは、コンバータ設計における回路条件を再現するために使用されます。電源は、インダクタに電圧を供給するために使用します。AFG31000シリーズは、MOSFETのゲートあるいはゲート・ドライバをトリガし、ターンオンして電流の導通を開始するためのパルス出力で使用します。
図6.MOSFETをDUTとした場合の電流の流れ
図6は、MOSFETでダブル・パルス・テストする場合の、さまざまなステージにおける電流の流れを示しています。IBGTを使用した場合の電流の流れを図7に示します。
図7.IGBTをDUTとした場合の電流の流れ
図8.ダブル・パルス・テストの代表的な波形
ローサイドのMOSFETまたはIGBTの代表的な測定例を図8に示します。ダブル・パルス・テストのさまざまなステージの様子を図6~8に示します。
.最初は、ターンオン・パルス#1であり、設定されたパルス幅を持ちます。このパルスにより、インダクタに電流が流れます。このパルス幅は、図8に示すテスト電流(I d)になるように調整されます。
.次に、最初のパルスをターンオフします。これにより、フリーホイール・ダイオードに電流が流れます。ターンオフ期間が短いのは、インダクタを流れる負荷電流をできるだけ一定の値に近づけるためです。図8は、この手順でローサイドのMOSFETのI dがゼロになることを示していますが、インダクタとハイサイドのダイオードには電流が流れていることがわかります。これは、図6と図7で、ハイサイドのMOSFET(オンにならないMOSFET)のダイオードに電流が流れていることがわかります。
.第3ステップは、2番目のターンオン・パルスです。パルス幅は最初のパルスよりも短いため、デバイスはオーバーヒートしません。2番目のパルスは、測定できるだけの長さにします。図8に見られるオーバーシュートは、ハイサイドのMOSFET/IGBTのフリーホイール・ダイオードの逆回復によるものです。
.最初のパルスのターンオフと2番目のパルスのターンオンで取込み、ターンオフとターンオンのタイミングを計測します。
次に、テストのセットアップと測定の方法について説明します。
ダブル・パルス・テストのセットアップ
測定には、以下の計測器が必要になります。.オシロスコープ:4/5/6シリーズMSO(この資料のセットアップでは、テクトロニクスの5シリーズMSOを使用):V DS、VGS、IDを測定します。
.オシロスコープにインストールしたダブル・パルス・テスト・ソフトウェア:4/5/6シリーズMSOのOpt.WBG-DPTで自動測定します。
.ダブル・パルス・テストによる、ローサイド・デバイスのスイッチング・パラメータ測定とハイサイドのダイオード逆回復特性測定のためのプローブ:
ローサイドのプローブ
.Ch1:V DS .TPPシリーズまたはTHDP/TMDPシリーズ電圧プローブ
.Ch2:V GS .TPPシリーズまたはTIVPシリーズ光アイソレーション型プローブとMMCXアダプタ・チップ
.Ch3:I D . TCPシリーズ電流プローブまたはCTなど
ハイサイドのプローブ
.Ch4:I RR . TCPシリーズ電流プローブまたはCTなど .Ch5:V DS .THDP/TMDPシリーズ差動プローブまたはTIVPシリーズ光アイソレーション型プローブ .DC電源
高電圧電源
.2657A型高電圧SMU、最大電圧3kV
.2260B-800-2型プログラマブルDC電源、最大電圧800V
ゲート・ドライブ回路用電源
.2230または2280SシリーズDC電源
図9.ダブル・パルス・テストのセットアップ
AFG31000シリーズによるダブル・パルス・テスト
AFG31000シリーズ用のダブル・パルス・テスト・アプリケーションは、テクトロニクスのWebサイトから直接ダウンロードでき、AFG31000シリーズにインストールします。図10は、アプリケーションをダウンロードし、AFGにインストールした後のホーム画面で、ダブル・パルス・テストのアイコンが表示されています。
図10.AFG31000シリーズのホーム画面
ダブル・パルス・テスト・アプリケーションは、異なるパルス幅のパルス生成が可能であり、この異なるパルス幅のパルス生成こそが、多くのユーザが悩んできた問題なのです。いくつかのソリューションでは、PCで波形を生成し、それをファンクション・ジェネレータにアップロードするものもあります。あるいは、プログラムに多くの努力と時間を必要とする、マイクロコントローラを使用した方法もあります。AFG31000シリーズのダブル・パルス・テスト・アプリケーションは、これが前面パネルで実行できます。このアプリケーションは直感的であり、簡単にセットアップできます。最初のパルス幅は、希望するスイッチング電流値が得られるように調整します。2番目のパルス幅は、最初のパルスとは独立して、最初のパルスよりも短く設定します。これにより、パワー・デバイスの損傷を防ぎます。また、パルス間の時間間隔も設定できます。
図11はダブル・パルス・テスト・アプリケーションのウィンドウを示しており、以下の項目が設定できます。
.パルスの数:2~30パルス
.ハイとローの電圧振幅(V) .トリガ遅延(s)
.トリガ・ソース- マニュアル、外部、タイマー .負荷-50Ωまたはハイ・インピーダンス
図11.AFG31000シリーズによるダブル・パルス・テスト・アプリケーション
図12は、ダブル・パルス・テストの実際のセットアップを示しています。
図12.ダブル・パルス・テストのセットアップ例
この例では、NチャンネルのパワーMOSFET、IBGTのゲート・ドライバとして、図13に示すSTマイクロエレクトロニクス社製の評価基板(EVAL6498L)を使用しています。
図13: EVAL6498L: https://www.st.com/en/evaluation-tools/eval6498l.html
使用するMOSFETも、STマイクロエレクトロニクス社製のSTFH10N60M2です。これは、7.5Aの定格ドレイン電流のNチャンネル600VMOSFETです。
その他の計測器、テスト回路で使用されているデバイスは以下の通りです。 .テクトロニクスの4、5または6シリーズMSO .テクトロニクスの電流プローブTCP0030A型:120MHz .テクトロニクスの高電圧差動プローブTMDP0200型
.ケースレーのDC電源2280S型(ゲート・ドライバICへの電源供給) .ケースレーの2461型SMU(インダクタへの電圧供給) .インダクタ:約1mH
電源は以下のように接続します。 .MOSFETは基板にはんだ付けされています。Q2はローサイド、
Q1はハイサイドです。 .Q1はターンオンさせないため、Q1のゲートとソースは短絡します。 .ゲート抵抗はQ2にはんだ付けします。R=100Ω
.AFG31000シリーズのCh1は、PWM_Lの入力と評価基板のGNDに接続します。
.ケースレーの電源は評価基板のV ccとGNDに接続し、ゲート・ドライバICに電源を供給します。
.ケースレーの2461型SMUはHVとGNDに接続し、インダクタに電源を供給します。
.インダクタは、HVとOUTに接続します。
ダブル・パルス・テストの測定
すべての電源接続が安全に行われたならば、オシロスコープのプローブを図14に示すQ2(ローサイドのMOSFET)に接続します。.IsoVuプローブをV GSに接続します。
.差動電圧プローブをV DSに接続します。
.TCP0030A型電流プローブをMOSFETのソース・リードに通します。
図14.オシロスコープによる測定のテスト・ポイント
慎重なプロービングと最適化により、より良い結果が得られます。正確で再現性のある測定を行うには、測定から電圧、電流、タイミングの誤差を取り除くなど、実行できる対処方法があります。4/5/6シリーズMSOのOpt.WBG-DPTなどの自動測定ソフトウェアによりマニュアルによる手順が減り、時間の節約になり、再現性のある結果が得られます。
AFG31000シリーズによるダブル・パルス・テストの設定画面の例を図15に示します。
図15.AFG31000シリーズによるダブル・パルス・テストの設定
パルスの振幅を2.5Vに設定します。最初のパルスの幅を10μs、間隔を5μsに設定し、2番目のパルス幅を5μsに設定します。トリガはノーマルに設定します。
ソースメータはHVに100V印加するように設定します。ゲート・ドライブ信号、電源が設定できたならば、オシロスコープのWBG-DPTアプリでダブル・パルス・テストの設定、実行になります。
4/5/6シリーズのダブル・パルス・テスト・ソフトウェア
WBG-DPTアプリケーションは、マニュアルのテストに比べて以下の利点があります。 .テスト時間の短縮 .リンギングのある信号であっても再現性のある測定が可能 .JEDEC/IEC規格にしたがった測定、または独自のパラメータによる測定も可能 .プリセット機能によりオシロスコープの設定が容易に .各パルスと注釈による容易なナビゲーション .結果テーブルによる測定結果の一覧表の表示 .レポート、セッション・ファイル、波形による結果の文書化.フル・プログラマブル・インタフェースにより、自動化が可能WBG-DPTアプリケーションの詳細については、データシートをご参照ください。
測定項目は、スイッチング・パラメータ解析、スイッチング・タイミング解析、ダイオードの逆回復解析に分類されます。
WBGデスキュー機能
WBGデスキュー機能は、パワー・デバイスがMOSFET、IGBTの場合の、それぞれのドレイン・ソース電圧(V DS)とドレイン電流(I D)間、またはコレクタ・エミッタ電圧(V CE)とコレクタ電流( IC)間のスキューを計算します。スキューの値は、オシロスコープで設定されたVDSまたはVCEのソース信号に適用されます。
WBGデスキューは、従来のオシロスコープによるデスキューとは異なります。従来、プローブ間のスキューは、テスト・セットアップで測定を始める前に計算します。WBGでは、測定システムのスキューは取込み動作の後に実行します。
図16.ダブル・パルス・テストの波形
図16の波形は、図8のものと似ています。Idsに見られるオーバーシュートは、ハイサイドのMOSFET/IGBTのフリーホイール・ダイオードの逆回復によるものです。このスパイクは使用するデバイス固有のものであり、損失の要因となります。
ターンオン、ターンオフ、エネルギー損失の測定
ターンオン、ターンオフのパラメータを計算するためには、最初のパルスの立下りエッジと、2番目のパルスの立上りエッジを観測します。
ターンオン、ターンオフのパラメータ測定のための業界標準を、図 17に示します。
図17.スイッチング時間の標準波形[5]
. td(on):VGSのピークの10%振幅から、Vdsのピークの90%振幅までの時間
. Tr:VDSのピークの90%振幅から、10%振幅までの時間
. td(of):VGSのピークの90%振幅から、Vdsのピークの10%振幅までの時間
. Tf:VDSのピークの10%振幅から、90%振幅までの時間
図18.オシロスコープのDPTソフトウェアは、規格と独自のリファレンス・レベルの両方に対応しています。ヒステリシス・バンドは、トランジションとして認識するために信号が通過すべきリファレンス・レベルの範囲を設定します。これにより、スプリアス・イベントを除外できます。
図19は、オシロスコープで取込んだ波形と、ターンオン・パラメータの測定を示しています。オシロスコープでWBG-DPTアプリケーションを実行しています。 “Power Device”でMOSFETを選択します。 VDS、ID、VGSのソースを設定します。
Timing Analysisのグループを選択し、T d(on)、Td(off)、Tr、Tfの測定項目を追加します。
Td(on)の測定を設定し、Presetをクリックします。オシロスコープは、単発取込みになります。
電源をオンにします。
AFG31000シリーズをオンにしてパルスを出力します。
波形が取込まれ、図19のように表示されます。トランジション時のエネルギー損失は、次の式で求められます。
Eon = ∫t0VDS IDSdt(1)
この特定のエネルギー損失の計算では、一般的に設計エンジニアはオシロスコープの積分機能を使用します。WBG-DPTアプリケーションでは、「スイッチング・パラメータ解析」グループの Eon測定があります。この測定では、積分を設定し、結果をすばやく表示します。
先に示したEonの測定と同様の積分がターンオフのトランジション時のエネルギー損失の測定でも使用できます。
Eoff = ∫t0VDSIDSdt(2)
DPTアプリケーションには、「スイッチング・パラメータ解析」メニューの中に自動Eoff測定が含まれています。これにより、エネルギー損失を計算して結果を直接表示します。
注:オシロスコープ画面のデータは、参考のためのものです。
図19.ターンオン・パラメータの波形
図20は、オシロスコープのカーソルで測定したターンオフ波形です。
図20.ターンオフ・パラメータ測定の波形
逆回復測定
次に、MOSFETの逆回復特性を測定します。図21.ダイオードの逆回復
逆回復(リカバリ)電流は、2番目のパルスのターンオン時に発生します。図21に示すように、ダイオードは第2フェーズで順方向に導通します。再びローサイドのMOSFETがターンオンすると、ダイオードはただちに逆ブロック状態に切り替わります。しかし、ダイオードは短時間、逆方向に導通します。これが、逆回復(リカバリ)電流です。このリカバリ電流がエネルギー損失となり、パワー・コンバータの効率に直接影響を及ぼします。
この例では、ハイサイドのMOSFETで測定します。ハイサイドのMOSFETでI dを、ダイオードでV sdを測定します。
図21も、逆回復パラメータの求め方を示しています。
.逆回復パラメータ:trr rr、
(逆回復時間)、 I(逆回復電流) Qrr(逆回復エネルギー)、di/dt、V sd
(逆回復電荷)、 Err(順方向電圧)トランジション時のエネルギー損失は、次の式で求められます。
Err = ∫t0VsdIrr,maxdt(3)
WBG-DPTは、「ダイオード逆回復」のグループでT rr、Qrr、Errに対応しています。波形と、取込んだ結果を図22に示します。
また、複数のT rr測定値を重ね合わせて表示することも可能で、選択したパルスを接線と設定値の注釈付きで表示します。
図22.逆回復波形。上の波形は、複数のイベントを重ね合わせたものを示す。接線(A-B)は、測定で現在選択されているイベントを示す
まとめ
ダブル・パルス・テストは、スイッチング・パラメータを測定し、パワー・デバイスの動的な振る舞いを評価する優れた方法です。このアプリケーションは、パワー・デバイスのスイッチング、逆回復の理解を助けるなど、コンバータのスイッチング損失に興味のあるテスト/設計エンジニアに最適です。このテストでは、パルス幅の異なる2つの電圧パルスが必要ですが、幅の異なるパルスを生成するのは時間のかかる作業となっていました。いくつかのソリューションでは、PCで波形を生成し、それをファンクション・ジェネレータにアップロードするものもあります。あるいは、プログラムに多くの努力と時間を必要とする、マイクロコントローラを使用した方法もあります。このアプリケーション・ノートでは、テクトロニクスのAFG31000シリーズ任意波形/ファンクション・ジェネレータを使用し、異なる幅のパルスが前面パネルから生成できることを説明しました。AFG31000シリーズのダブル・パルス・テスト・アプリケーションは、セットアップとパルス出力が迅速に行えるため、設計/テスト・エンジニアはデータの収集、より効率的なコンバータの設計に集中することが可能になります。4/5/6シリーズMSOのWBG-DPTダブル・パルス・テスト・アプリケーションは規格で定義されたテストが可能であり、デバイスの振る舞いが解析でき、マニュアルによるテストに比べて時間が短縮できます。
このアプリケーションには、正しい波形を取込むためのプリセット機能、規格以外のテストを行うための詳細な設定オプション、ノイズの多い波形を解析するための信号調整機能、ナビゲーションと注釈機能、再現性に優れた測定を可能にする詳細なドキュメント機能が含まれています。
AFG31000シリーズと4/5/6シリーズMSOによるダブル・パルス・テストの自動セットアップと解析機能は、テスト時間を大幅に短縮し、次世代のパワー・コンバータの市場投入までの時間を短縮します。
出典:
1. https://www.tek.com/ja/documents/technical-brief/evolving-materials-and-testing-emerging-generations-power-electronics
2. https://www.tek.com/ja/document/application-note/measuring-power-supply-switching-loss-oscilloscope
3. Infineon: Double Pulse Test for IGBT & FWD . Principle
https://u.dianyuan.com/upload/space/2011/07/29/1311925659-501009.pdf
4. https://training.ti.com/understanding-mosfet-datasheets-switching-parameters 5. https://www.mouser.com/datasheet/2/389/stfh10n60m2-974335.pdf 6. https://www.st.com/resource/en/data_brief/eval6498l.pdf
7. https://www.tek.com/ja/datasheet/advanced-power-measurement-and-analysis
8. https://www.tek.com/ja/document/application-note/measuring-vgs-wide-bandgap-semiconductors
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