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電磁干渉(EMI)を3ステップで特定

一般的に電磁干渉(EMI)と呼ばれている放射妨害波は、電気機器および電子機器ユーザに信頼性の高い動作と安全性を確保するよう慎重に規制されています。規制では許容できる放射妨害波の値が制限されており、製品をこの値内に収めるため、設計者は多大な時間と労力を費やしています。EMIが課題となる理由の1つは、放射妨害波が、通常、システム設計上の問題であるためです。

電磁干渉(EMI)の定義

EMI(無線周波数干渉、RFIとも呼ばれる)は、既存のラジオ、テレビ、または携帯電話などのその他通信システムを干渉する製品に関係があります。米国外では、静電気放電や電力線の過渡電流などの外部エネルギー源に対する耐性も含まれます。これは一般的に、商用製品、消費者向製品、工業製品、医療用製品、科学的な製品に適用されます。放射妨害波は通常、3mまたは10mの試験距離をとって測定されます。

電磁干渉の 原因 

一般的に言って、EMIを引き起こす要因は主に3つあります。高調波信号を生成するエネルギー源、高調波を放射するIOや電源ケーブルなどのアンテナ構造、およびこの2つを接続する結合経路です。エネルギー源、結合経路、またはアンテナを取り除けばEMIの問題が解決する、と聞くと簡単なようですが、それほど単純なことではありません。しかし、最新のオシロスコープが、EMIの問題のトラブルシューティングに重要な役割を果たすことができます(図1)。

テクトロニクス6シリーズ・ミックスド・シグナル・オシロスコープを使った電磁干渉源の特定

図1.最新のオシロスコープと近接界プローブを併用して、EMIの発生源を突き止めることが可能。

ほとんどの設計者が、EMIのデバッグにはスペクトラム・アナライザが最も適したツールであると考えていますが、拡張トリガと周波数ドメイン解析を備えた最新の高速オシロスコープが、時間領域と周波数領域両方のEMI解析の組み合わせに最も適している可能性があります。回路のEMIを特性評価する際の重要な手がかりの1つは、含まれる高調波が広帯域であるか狭帯域であるかです。広帯域高調波は、主にデジタル・バス・ノイズまたはDC-DCコンバータから発生し、周波数スペクトルに広いピークとして現れます。狭帯域EMIは、プロセッサのUSBまたはイーサネット・クロックで発生し、一般的に、高調波に関連する一連の狭いスパイクとして現れます。

EMIの発生源を特定するための3つのステップ

多くの製品設計者は、近接界プローブでプリント基板やケーブル上のEMIの「ホットスポット」を特定する方法には精通しているかもしれませんが、その情報で次に何をすべきかについては知らないかもしれません。テクトロニクス4、5、6シリーズBミックスド・シグナル・オシロスコープのスペクトラム・ビューを例にとり、放射障害を特定する3つのステップを次に示します。

ステップ1 – 近接界プローブ(HフィールドまたはEフィールドのいずれか)を使用して、プリント基板と内部ケーブルのエネルギー源、特性放射プロファイルを特定します。エネルギー源には、一般的に、クロック発振器、プロセッサ、RAM、D/AまたはA/Dコンバータ、DC-DCコンバータ、およびその他のソースがあり、高周波で高速エッジのデジタル信号を生成します。製品にシールドされた筐体が含まれている場合は、漏れを生じている継ぎ目やその他開口部がないかを調べます。各エネルギー源の放射プロファイルを記録します。

ステップ2 – 電流プローブを使用して、高周波ケーブル電流を測定します。ケーブルは、最もRFエネルギーを放射しやすい構造であることにご留意ください。プローブをケーブルに沿って前後に動かし、高調波電流の最大値を最大化します。各ケーブルの放射プロファイルを記録します。

ステップ3 – 近くのアンテナ(通常、1mのテスト距離)を使用して、どの高調波信号が実際に放射しているのかを判断します(図2)。そのためには、テクトロニクス4/5/6シリーズMSOに、製品または被測定システムから1m以上の間隔を空けて接続した未校正のアンテナで、実際の放射状態を測定します。

電磁干渉源を特定するためのアンテナとアクセサリ

図2. 想定されるアンテナとアクセサリの例

これら3つのステップのうち1つ以上で放射の発生源を特定できたら、フィルタリング、接地、シールドに関する知識を使い、問題となっている放射を軽減することができます。製品内部から外部ケーブルへの結合経路を限定してみてください。場合によっては、レイヤ・スタックアップの最適化やリターン・プレーンのギャップを横切る高速トレースの排除を行って、回路基板を再設計する必要があります。テクトロニクス4/5/6シリーズMSOオシロスコープのマルチドメイン解析ツールを使用すると、アンテナから一定の間隔を空けて、リアルタイムで結果を観察できるため、問題解決を迅速に行うことができます。

テクトロニクス4/5/6シリーズ・オシロスコープによるEMIのトラブルシューティング

EMIのトラブルシューティングの詳細は、アプリケーション・ノート「Step by Step EMI Troubleshooting with 4/5, and 6 Series MSO Oscilloscopes(4/5/6シリーズMSOオシロスコープのEMIトラブルシューティング・ガイド)」をダウンロードしてください。