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IsoVu™絶縁電流プローブ
TICP100、TICP050、TICP025データ・シート
Replacement Products
概要
TICPシリーズIsoVu™絶縁電流プローブは比類ない帯域幅、ノイズ除去、確度、電流測定のための使いやすさを実現します。完全なガルバニック絶縁により、グランド・ループが除去され、非常に高いコモン・モード除去が可能です。1X構成では、TICPシリーズ・プローブの50 Ω入力により、4.7 nV/√Hz未満の非常に低いノイズが達成され、シャントでの正確な計測に理想的です。プローブには、様々な減衰チップをご用意しており、差動電圧範囲を拡張することができます。使用するシャントにより、プローブは低電力モバイル設計のためのミクロアンペア(µA)から産業・モビリティシステムのための数百アンペアの電流測定まで対応します。
主な性能仕様および機能
- プローブ・チップとオシロスコープ間のガルバニック絶縁
- 3種の帯域幅(1 GHz、500 MHz、250 MHz)で使用可能
- 1X、10X、または100Xプローブ・チップと併せて使用するシャントにより決まる広い電流測定範囲
- ノイズ4.70 nV / √Hz(20 MHzで<21 μVRMS)未満
- 最大90 dB同相除去比(1 MHz)
- 最大コモン・モード電圧:1.8 kV;汚染度1の環境で使用時。トランジェント・レベルが5kVpkを超えない場合
- 1.5%DCゲイン確度
- 4、5、6シリーズMSO機器(最新Bモデルを含む)と互換性あり
- TekVPI™インターフェースにより、オシロスコープの前面パネルまたはプログラミング・インターフェースから制御およびプローブの構成が可能
主要アプリケーション
- 電流シャント測定
- SiC/GaN、FET、IGBTを使用したハーフブリッジ/フルブリッジ設計
- ダブル・パルス・テスト(DPT)
- フローティング・ゲート測定
- パワー・コンバータの設計
- スイッチング電源の設計
- 定常状態、スリープ、ウェイクアップ状態の電流モニタリング
チップが計測範囲を拡大し、面倒を最小に抑え、ノイズを除去します
TICPシリーズのプローブはセンサ・ベースのクランプ・オン式オシロスコープ用プローブでは測定が難しい、または困難な、低電流計測と高電流計測の両方に非常に適しています。3個の異なる減衰チップを有し、シャント抵抗と電力定格値に基づいた広範囲の電流を簡単に計測することができます。
プローブは高性能の電流計測を実現するよう設計されており、利便性の高い接続機能を備えます。チップにはMMCXおよびSMAコネクタが備えられており、適切な接地とシールドを確実に実現します。接地とシールドはノイズの最小化、グランド・ループ、正確な電流測定のために重要です。これらのチップにより、市場で最も流通しているシャントへの直接接続が可能になりますが、適切なアダプタを使用してチップをシャントに接続することもできます。
プローブ・チップは独自のリバーシブルなIsoConnect™インタフェースでプローブ本体に接続されるため、方向を心配することなくチップをスナップ装着することができます。柔軟性を実現するよう設計されたプローブ・チップの曲げ半径は小さいため、狭い場所でも容易に接続できます。標準型プローブには、三脚アダプタとバイポッドが含まれ、テスト・セットアップでの設置と位置決めに便利です。
電流シャント測定
テスト・システムで電流を計測するには2種類の方法があります。第1の方法は、電気導体周辺のフィールドを感知し、電流を示す信号に変換する方法です。この方法はほとんどのクランプ・オン型の電流プローブ、つまりロゴスキー・コイルで使用されています。第2の方法は、オームの法則を利用して電流を測定する方法です。精度シャントレジスタ内の電圧ドロップを測定することにより電流を測定できます。これがTICPシリーズ・プローブが使用する方法です。
電流シャント、つまり電流観測レジスタ(CVR)は通常幅広い周波数に応答し、周波数の高域スペクトラムでAC電流とDC電流の両方を正確に測定します。コンパクトなサイズのため、最小スペース要件のある既存の回路にも容易に統合できます。シャント・レジスタはPCB内に設計する必要があり、電圧ドロップを引き起こすことになるものの、センサ・ベースの電流測定と比較して、高い精度、歪みが最小に抑えられること、および低干渉など重要な利点があります。
絶縁によりフローティング測定および非常に低いノイズが実現します
TICPシリーズIsoVu絶縁電流プローブを使用すると、オシロスコープ上で従来のリミットの範囲外で、より正確な動的測定が実現します。トランスフォーマ、ロゴスキー、ホール効果電流プローブと異なり、TICP電流プローブは、高性能シャントまたはCVRと組み合わせるとDCから数百MHzの測定を実現します。プローブ・チップとオシロスコープ間のRF絶縁を完全にし、グランド・ループを除去して、最大90 dB(1 MHz)の並外れた同相信号除去比(CMRR)を実現し、コモン・モードノイズを劇的に減少させます。低減衰と低入力インピーダンス(50 Ω)が、シャント間のの低電圧(± 0.5 V)計測時のノイズ寄与を4.7 nV/√Hz未満(1 GHzで150 µV未満)に抑えます。
ハイパワー・システムにおける高忠実度電流の測定
TICPシリーズプローブはワイド・バンドギャップ(WBG)切り替えデバイスの高速立上り時間を正確に読み取るために必要な帯域を提供します。これにより、ハイパワーSiCおよびGaN電力コンバータで動的電流を正確に計測することができます。革新的なIsoVu™ TIVP絶縁電圧プローブを補完し、電流測定向けに同様の画期的な絶縁を実現します。絶縁によりグランド・ループが除去され、高域ドレイン電流(Ids)の正確な測定が可能になります。
低電力システムでの低電流計測
TICPシリーズプローブは、特定のシステム活動およびスリープからアクティブ状態への移行の際の電流消費を計測する帯域幅を有しています。低ノイズ構造はシャント間の低電流を正確に測定するために重要です。TICPシリーズのコモン・モード電圧定格はほとんどの差動プローブより高く、そのためより高い電圧パワー・レールでの電流シャント測定が可能です。6シリーズMSOの低ノイズと組み合わせると、システム全体で低ノイズのパフォーマンスを行うことができ、効率的にレール電流を計測します。
仕様
すべての仕様は、特に断りのないかぎり代表値であり、すべての機種に適用されます。
プローブとチップの概要
プローブ | TICP100 | TICP050 | TICP025 |
---|---|---|---|
周波数帯域 | 1 GHz | 500 MHz | 250 MHz |
立上り時間 | 400 ps | 700 ps | 1.4 ns |
DCゲイン確度 | ±1.5% | ||
最大コモン・モード電圧 | 1,800 V;汚染度1の環境で使用時。トランジェント・レベルが5 kVpkを超えない場合の最大値 | ||
1,300 V;汚染度2、トランジェント・レベルが5kVpkを超えない最大値 | |||
600 V(CAT III)、汚染度2 | |||
1,000 V(CAT II)、汚染度2 | |||
RMS雑音スペクトル密度 | 4.70 nV / √Hz(20 MHzで<21 μVRMS) | ||
プローブ・ケーブル長 | 2 m(78インチ) |
入力電圧範囲、入力インピーダンス
差動入力電圧範囲+オフセット範囲は計測可能最大入力電圧を超えません。たとえば、TICPSMAの±0.5 V範囲ではオフセットは±0.5 Vに制限されます。完全な±0.5 VオフセットはTICPシリーズ・プローブの±0.125 V範囲で利用可能です。
プローブ・チップ | 差動入力電圧範囲 | オフセット・レンジ | 測定可能な最大入力電圧(Vpk) | 最大非破壊差動電圧 | 入力インピーダンス |
---|---|---|---|---|---|
TICPSMA | ±0.5 V | ±0.5 V | 0.65 V | ±3 V;3 VRMS | 50 Ω || N.A. |
TICPMM1 | ±0.5 V | ±0.5 V | 0.65 V | ±3 V;3 VRMS | 50 Ω || N.A. |
TICPMM10 | ±5 V | ±5 V | 6.5 V | ±15 V;15 VRMS | 500 Ω || <3 pF |
TICPMM100 | ±50 V | ±50 V | 50 V | ±60 V;60 VRMS | 5,000 Ω || <3 pF |
ノイズ・フロア(A RMS)
シャントの選択 | 20 MHz | 250 MHz | 1 GHz |
---|---|---|---|
50 Ω TICP、シャントとして | 420 nA | 1.5 μA | 3.0 μA |
5 Ωシャント | 4.2 μA | 14.9 μA | 29.7 μA |
1 Ωシャント | 21 μA | 74.3 μA | 149 μA |
500 mΩシャント | 42 μA | 149 μA | 297 μA |
50 mΩシャント | 420 μA | 1.5 mA | 3.0 mA |
5 mΩシャント | 4.2 mA | 14.9 mA | 29.7 mA |
500 μΩシャント | 42 mA | 149 mA | 297 mA |
50 μΩシャント | 420 mA | 1.5 A | 3.0 A |
15 μΩシャント | 1.4 A | 5.0 A | 9.9 A |
最大測定可能電流
最大値はシャントの電源定格に依存します。
シャントの選択 | TICPMM1 | TICPSMA | TICPMM10 | TICPMM100 |
---|---|---|---|---|
50 Ω TICP、シャントとして | 13 mA | - | - | |
5 Ωシャント | 130 mA | 1.3 A | 10 A | |
1 Ωシャント | 650 mA | 6.5 A | 50 A | |
500 mΩシャント | 1.3 A | 13 A | 100 A | |
50 mΩシャント | 13 A | 130 A | 1.0 kA | |
5 mΩシャント | 130 A | 1.3 kA | 10 kA | |
500 μΩシャント | 1.3 kA | 13 kA | 100 kA | |
50 μΩシャント | 13 kA | 130 kA | 1,000 kA | |
15 μΩシャント | 43.3 kA | 433.3 kA | 3,300 kA |
プローブ範囲
TICPSMAとTICPMM1チップの数値を示します。10Xまたは100Xチップに関しては、それぞれ10または100を乗じてください。
入力レンジ | オフセット・レンジ | RMS雑音スペクトル密度(VRMS) | 20 MHzでのノイズ・フロア(VRMS) |
---|---|---|---|
±0.5 V | ±0.15 V | 22.9 nV/√Hz | 102.5 µVRMS |
±0.35 V | ±0.30 V | 17.4 nV/√Hz | 77.8 µVRMS |
±0.25 V | ±0.40 V | 15.0 nV/√Hz | 67.2 µVRMS |
±0.175 V | ±0.475 V | 9.5 nV/√Hz | 42.4 µVRMS |
±0.125 V | ±0.5 V | 8.7 nV/√Hz | 38.9 µVRMS |
±0.09 V | ±0.5 V | 6.3 nV/√Hz | 28.3 µVRMS |
±0.065 V | ±0.5 V | 5.5 nV/√Hz | 24.7 µVRMS |
±0.045 V | ±0.5 V | 4.7 nV/√Hz | 21.2 µVRMS |
±0.03 V | ±0.5 V | 4.7 nV/√Hz | 21.2 µVRMS |
±0.02 V | ±0.5 V | 4.7 nV/√Hz | 21.2 µVRMS |
同相除去比(CMRR)
プローブ・チップ | DC | 1 MHz | 100 MHz | 250 MHz | 500 MHz | 1 GHz |
---|---|---|---|---|---|---|
TICPSMA | 140 dB | 90 dB | 75 dB | 50 dB | 45 dB | 35 dB |
TICPMM1 | 140 dB | 90 dB | 80 dB | 70 dB | 70 dB | 50 dB |
TICPMM10 | 90 dB | 70 dB | 60 dB | 60 dB | 40 dB | 20 dB |
TICPMM100 | 75 dB | 50 dB | 45 dB | 30 dB | 20 dB | 6 dB |
アプリケーション例
ワイドバンドギャップ(WBG)およびPMICパワー・インテグリティのアプリケーション例。WBGの例(800 V、40 A代表値、0.125 Ωシャント)
40 Aで切り替わる800 V SiC回路では、125 mΩシャントが5 Vの信号を生成します。これを測定するには、TICP 10Xチップを使用しなければなりません。±3.5 Vの範囲ではオフセットの0.3 Vを適用します。
計測可能な電流範囲は52 Aから-4 Aです。この設定では、RMSノイズ・フロア(帯域幅は250 MHz)は2.2 mA RMSです。
PMICパワー・インテグリティ(48 V、3 mA代表値、1 Ωシャント)
48 V PMICバスでは、3 mAの待機電流が1 Ωシャントで3 mV信号を生成します。1Xチップを最も感度の高い±20 mVの範囲で使用し、オフセットを適用して3 mA電流を観測し、21.2 µAのRMSノイズ・フロアで0 A~40 mAのトランジェントを取り込みます。
環境要件
特性 | コンポーネント | 動作時 | 非動作時 |
---|---|---|---|
温度 | 補正ボックスおよびプローブ・ヘッド | 0℃~+50℃ | -20℃~+70℃ |
チップ・ケーブルおよびアダプタ | -40℃~+85℃ | -40℃~+85℃ | |
湿度 | 補正ボックスおよびプローブ・ヘッド | 最大+40℃で相対湿度5%~85%、最大+50℃で相対湿度5%~45%、凝縮なし | 最大+40℃で相対湿度5%~85%、最大+70℃で相対湿度5%~45%、凝縮なし |
チップ・ケーブルおよびアダプタ | |||
高度 | 全コンポーネント | 最高3,000m(9,842フィート) | 最高12,000m(39,370フィート) |
規制適合性
- EMC
- 欧州EMC指令に準拠(CEマーク)
- 安全性
- 欧州低電圧指令に準拠(CEマーク)
- ANSI/UL61010-1に準拠(CSAマーク)
- ANSI/UL61010-2-030に準拠(CSAマーク)
- CAN/CSA C22.2 No. 61010-1に準拠(CSAマーク)
- CAN/CSA C22.2 No.61010-2-030に準拠(CSAマーク)
- RoHS
- 欧州有害物質規制に準拠(CEマーク)
ご注文の際は以下の型名をご使用ください。
お客様の測定のニーズに合わせて、最適な機器とオプションを選択してください。
モデル概要
型名 | 概要 |
---|---|
TICP025 | 250 MHz Tektronix絶縁電流プローブ |
TICP050 | 500 MHz Tektronix絶縁電流プローブ |
TICP100 | 1 GHz Tektronix絶縁電流プローブ |
スタンダード・アクセサリ
次の表は、プローブに付属するアクセサリを示しています。アクセサリ | 概要 | 部品番号 |
---|---|---|
1Xプローブ・チップ・ケーブル(MMCXコネクタ付き) | TICPMM1 | |
10Xプローブ・チップ・ケーブル(MMCXコネクタ付き) | TICPMM10 | |
SMAチップ・アダプタ | TICPSMA | |
クランプ・オン・フェライト・コモン・モード・チョーク | 276-0905-XX | |
プローブを保持するために、バイポッドを使用します。 | 020-3210-XX | |
¼インチ-20 UNCスレッドアクセサリ向けの三脚アダプタ。 | 103-0508-XX | |
プローブ・チップ・アダプタ。MMCX IsoVuチップを標準の2.54mm(0.100 インチ)間隔、5.08mm(0.025 インチ)スクエア・ピンに変換。 | 131-9717-XX | |
ソフト・キャリング・ケース(フォーム・インサート付き) | 016-2147-XX |
推奨アクセサリ
以下の表にオプショナル・アクセサリの一覧を示します。アクセサリ | 概要 | 部品番号 |
---|---|---|
100Xプローブ・チップ(MMCXコネクタ付き) | TICPMM100 | |
スクエア・ピン‐MMCXアダプタ、1.57mm(0.062 インチ)間隔 | 131-9677-XX | |
MMCX‐ICグラバ・リード | 196-3546-XX | |
スクエア・ピン‐ICグラバ・リード | 196-3547-XX | |
MicroCKTグラバ | 206-0569-XX |
対応オシロスコープ
本測定システムは、以下のテクトロニクス製オシロスコープで使用できます。- 4シリーズMSO、4シリーズB MSO
- 5シリーズMSO、5シリーズB MSO、5シリーズMSO LP
- 6シリーズMSO、6シリーズB MSO
サービス・オプション
- 標準保証
- 1年間
- Opt. R3
- 3年間の修理サービス(保証期間を含む)
- Opt. R5
- 5年間の修理サービス(保証期間を含む)
- Opt. C3
- 3年間の校正サービス
- Opt. C5
- 5 年間の校正サービス
- Opt. D1
- 校正データ・レポート
- Opt. D3
- 3年試験成績書(Opt. C3と同時発注)
- Opt. D5
- 5年試験成績書(Opt. C5と同時発注)
オシロスコープのプローブとアクセサリは、保証およびサービスの対象外です。プローブとアクセサリの保証と校正については、それぞれのデータ・シートをご参照ください。