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拡張ジッタ解析
5/6シリーズMSOアプリケーション・データ・シート
業界標準の、テクトロニクスDPOJETアイ・ダイアグラム、ジッタ、ノイズ、タイミング解析パッケージをベースにした、拡張ジッタ/アイ・ダイアグラム解析オプションを使用することで、リアルタイム・オシロスコープで高感度、高確度な測定が行えます。他社の多くのジッタ解析アプリケーションと異なり、このアプリケーションでは、包括的なジッタ/アイ・ダイアグラム解析機能がオシロスコープの自動測定システムのユーザ・インタフェースに統合されています。自動測定機能、測定プロット、および高度なジッタ分解アルゴリズムにより、今日の高速シリアル、デジタル/通信システム設計におけるシグナル・インテグリティの問題検出が容易になります。
主な標準測定機能
- 基本的なタイミング・パラメータ測定(周期、周波数、立上り/立下り時間、パルス幅、デューティ・サイクルなど)
- タイム・インターバル・エラー(TIE)
- 位相ノイズ
- ヒストグラム、タイム・トレンド、スペクトラムなど、さまざまなグラフィック・ツール
- ソフトウェアPLLを含む、プログラマブル・ソフトウェア・クロック・リカバリ1
- 選択可能なハイとローのリミット測定境界
1米国特許第6,812,688号
ジッタ解析オプションの主な機能
- アナログ/デジタルのクロック、データ信号のジッタおよびタイミング解析
- リアルタイム・アイ・ダイアグラム(RT-Eye®)解析1
- ビット・レートとパターン長の自動検出による簡単な測定設定
- 選択可能なハイ・パス、ロー・パスの測定フィルタ
- 複数の種類のプロットによるジッタの表示/解析:タイム・トレンド、アイ/ダイアグラム、ヒストグラム、スペクトラム、バスタブ曲線、SSCプロファイル
- スペクトラムとQスケールの手法を使用した正確なジッタ解析で、業界標準のDual-Diracモデル・パラメータの抽出を含む、ジッタ成分の詳細な分離が可能
- BUJ(Bounded Uncorrelated Jitter、有界非相関ジッタ)の影響を正確に測定し、正確なTJ測定を可能にするジッタ分離アルゴリズム
- アイ・ダイアグラム・マスク・テスト
1米国特許第6,836,738号
アプリケーション
- 信号の振幅/タイミング・パラメータおよびマージンの定量化
- 複雑な組込みシステムのデバッグ
- 高速シリアルとパラレル・バス設計の性能評価
- クロックおよびデータのジッタ/ノイズとシグナル・インテグリティの特性評価
- PLLのダイナミック性能の評価
- SSC(スペクトラム拡散クロック)回路の変調評価
- ジッタ生成、伝達伝送、トレランスの特性評価
ジッタ/アイ・ダイアグラム測定
拡張ジッタ/アイ・ダイアグラム解析ソフトウェアは、当社のリアルタイム・オシロスコープの機能を拡張し、連続または単発取込モードで取込んだクロック信号、シリアル/パラレルのデータ信号から複雑な測定と解析を行うことができます。アナログ/FlexChannel®入力、アクティブな演算波形、アクティブなリファレンス波形のいずれについても、ジッタ/アイ・ダイアグラム解析/測定が行えます。
拡張ジッタ/アイ・ダイアグラム解析はオシロスコープの自動測定システムに内蔵され、標準測定とジッタ測定を自由に組み合わせて測定を行うことができます。新規測定を追加するコンフィグレーション・メニューを開くと、標準の振幅測定やタイミング測定はStandardタブに、ジッタ測定はJitterタブに配置されています。
ジッタ測定コンフィグレーション・メニュー
ADD MEASUREMENTSコンフィグレーション・メニューのJITTER MEASUREMENTSパネル(Jitterタブ)には、次の測定項目があります。
ジッタ測定項目 | 概要 |
---|---|
Jitter Summary | ジッタ・サマリは、各種の測定項目(TIE, TJ@BER, Eye Width@BER, RJ-δδ, DJ-δδ, PJ, DDJ, and DCD)をグループ化したものです。 |
TIE | タイム・インターバル・エラーは、ソース波形のエッジとリカバリ・リファレンス・クロックの対応するエッジの間の時差を表します。 |
位相ノイズ | 位相ノイズは、基本クロック周波数におけるユーザ指定のオフセット範囲内の総合ジッタのすべての立下りのRMS振幅を表します。 |
TJ@BER | 特定のビット・エラー・レートにおけるトータル・ジッタは、ビット・エラー・レートに等しい確率でのみ違反となる可能性があるジッタのp-p振幅の予想値で示されます。 |
RJ-δδ | Dual-Diracランダム・ジッタは、すべてのデターミニスティック・ジッタのヒストグラムは振幅の等しい一組のディラック関数としてモデル化される、という考え方に基づいて簡素化されたランダム・ジッタです。 |
DJ-δδ | Dual-Diracデターミニスティック・ジッタは、すべてのデターミニスティック・ジッタのヒストグラムは振幅の等しい一組のディラック関数としてモデル化される、という考え方に基づいて簡素化されたデターミニスティック・ジッタです。 |
PJ | 周期ジッタは、デターミニスティック・ジッタにおける非相関の正弦波成分のp-p振幅を表します。 |
RJ | ランダム・ジッタは、ガウシアン分布に従うすべてのランダム・タイミング・エラーのRMS振幅を表します。 |
DJ | デターミニスティック・ジッタは、確定的な動作を示しているすべてのタイミング・エラーのp-p振幅を表します。 |
DDJ | データ依存性ジッタは、デターミニスティック・ジッタにおける波形のデータ・パターンとの相関性を示す成分のp-p振幅を表します。 |
DCD | デューティ・サイクルの歪みは、デターミニスティック・ジッタにおいて信号の極性との相関性を示す成分のp-p振幅を表します。 |
SRJ | サブレート・ジッタは、データ・レートの1/2、1/4、1/8における周期性成分に由来する複合ジッタを表します。 |
J2 | J2はビット・エラー・レートが2.5e-3でのトータル・ジッタを表します。 |
J9 | J9はビット・エラー・レートが2.5e-10でのトータル・ジッタを表します。 |
NPJ | 非周期ジッタは、有界非相関ジッタ(BUJ)のランダムな部分を表します。BUJにはDDJ、DCD、およびRJは含まれません。 |
F/2 | F/2はデータ・レートの1/2で発生する周期ジッタのp-p振幅を表します。 |
F/4 | F/4はデータ・レートの1/4で発生する周期ジッタのp-p振幅を表します。 |
F/8 | F/8はデータ・レートの1/8で発生する周期ジッタのp-p振幅を表します。 |
ADD MEASUREMENTSコンフィグレーション・メニューのEYE MEASUREMENTSパネル(Jitterタブ)には、次の測定項目があります。
アイ測定項目 | 概要 |
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Eye Height | アイの高さは、リカバリされたユニット・インターバルの中心での最小の垂直アイ開口を表します。 |
Eye Width | アイの幅は、ユーザ指定のリファレンス・レベルでの最小の水平アイ開口を表します。 |
Eye High | アイ・ハイは、リカバリされたユニット・インターバル内のユーザ指定位置で測定されたハイ("1")ビットの振幅を表します。 |
Eye Height@BER | アイ・ハイ@BERは、ビット・エラー・レートに等しい確率で違反になる可能性がある推定垂直アイ開口を表します。 |
Eye Width@BER | アイの幅@BERは、ビット・エラー・レートに等しい確率で違反になる可能性がある推定水平アイ開口を表します。 |
Eye Low | アイ・ローは、リカバリされたユニット・インターバル内のユーザ指定位置で測定されたロー("0")ビットの振幅を表します。 |
Q-Factor | Qファクタは、リカバリされたユニット・インターバル内のユーザ指定位置で測定された垂直軸ノイズ(RMS)に対する垂直アイ開口の割合を表します。 |
ADD MEASUREMENTSコンフィグレーション・メニューのAMPLITUDE MEASUREMENTSパネル(Jitterタブ)には、次の測定項目があります。
振幅測定項目 | 概要 |
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Bit High | ビット・ハイは"1"ビットの振幅を表します。リカバリされたユニット・インターバルの中心でユーザが指定した部分について測定されます。 |
Bit Low | ビット・ハイは"0"ビットの振幅を表します。リカバリされたユニット・インターバルの中心でユーザが指定した部分について測定されます。 |
Bit Amplitude | ビット振幅はトランジション前後の"1"ビットと"0"ビットの振幅の差を表します。リカバリされたユニット・インターバルの中心でユーザが指定した部分について測定されます。 |
DC Common Mode | DCコモンモードは2つのソースのコモンモード電圧の相加平均を表します。 |
AC Common Mode (Pk-Pk) | ACコモンモード(p-p)は2つのソースのコモンモード電圧のピーク・ツー・ピークの差を表します。 |
Differential Crossover | 差動クロスオーバは差動信号ペアのクロスオーバ・ポイントにおける電圧レベルを表します。 |
T/nT Ratio | T/nT比は、先行する直近の遷移ビットの電圧(遷移の後に続く2つ目のビットの電圧)に対する非遷移ビットの電圧(遷移の後の最初のビットの電圧)の割合を表します。ビットの電圧はリカバリされたユニット・インターバルの補間された中間点で測定されます。 |
ADD MEASUREMENTSコンフィグレーション・メニューのTIMING MEASUREMENTSパネル(Jitterタブ)には、次の測定項目があります。
タイミング測定 | 概要 |
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SSC Freq Dev | SSC周波数偏差は、拡散スペクトラム・クロックの周波数偏差を表します。この測定では、拡散スペクトラム・クロックの変調プロファイルのタイム・トレンド・プロットが有効になります。 |
SSC Modulation Rate | SSC変調レートは、拡散スペクトラム/クロックの変調周波数を表します。 |
複数測定の構成
測定を有効にすると、測定結果の平均値がディスプレイ右側のバッジに表示されます。バッジをダブルタップすると、その測定項目のコンフィグレーション・メニューが表示されるので、バッジに統計データを表示できるだけでなく、測定値を1つまたは複数の関連するプロット・フォーマットで表示することもできます。さらに、信号の種類、リファレンス・レベル、クロック・リカバリ方式、ゲーティング、フィルタリング、リミットなどの自動測定パラメータも設定できます。これらの測定パラメータは、すべての測定にグローバルに適用するか、または個々の測定のみに適用することもできます。
たとえば、拡散スペクトラム・クロックでのジッタ測定は、クロック・リカバリの位相ロック・ループ(PLL)に基づきます。通常、PLLが定義されるのは、高周波を除去することで、低周波ジッタによる影響を追跡するためです。結果としてアイ・ダイアグラムの開きが大きくなります。ただし、被測定デバイスにおけるクロック・ジッタの影響を観測したいのであれば、コンスタント・クロック・リカバリを使用することができます。柔軟度の高い測定コンフィグレーション機能を使用することで、これらの測定を同時に実行することができます。
拡散スペクトラム・クロック信号測定の例。選択された多くの測定項目のうちの1つがコンフィグレーション・メニューに表示されている
データ表示
設計が仕様を満たしているか、あるいは違反であるかを確認するためには、ジッタ/アイ・ダイアグラム解析で数値的な測定結果が得られなければなりません。ただし、システムの動作を詳細に調査し、デバッグを成功させるためには、パラメータ測定だけでは十分とは言えません。測定結果に統計的な変動は見られないか、パラメータの経時的な変動はどのようなものか、これらの変動は設計の他の部分の動作にどのように関係するのか、などが必要になります。
たとえば、拡散スペクトラム・クロック信号の解析では、平均クロック周波数と最大周波数偏差が表示されます。この場合、周波数の変動、つまり低周波ジッタが十分に抑えられていなければなりません。問題はその周波数が実際に、設計どおりに変動しているかどうかです。拡張ジッタ解析アプリケーションを使用すれば、周波数およびTIE測定のタイム・トレンドをクロック波形と合わせてプロットできます。さらに、測定のヒストグラムとスペクトラムもプロットできるため、複数の領域での回路の動作を詳細に解析できます。
スペクトラム・クロック信号の解析。98MHzのクロックで39kHzの三角波変調が表示されている
デフォルトでは、スペクトラム・プロットには、信号のジッタ成分全体が表示されます。低周波のジッタ成分を検証する場合は、スペクトラムをズームして、カーソルで測定します。ズーム表示を行っていても、概要ウィンドウを見れば、拡大された領域がプロット全体のどの部分であるかを一目で把握できます。
拡張ジッタ/アイ・ダイアグラム解析は、カスタマイズ可能な表示機能を備えており、測定値と統計が測定バッジまたは測定結果表に表示されるほか、アイ・ダイアグラム、トレンド・プロット、ヒストグラム、バスタブ/スペクトラム・プロットも表示できます。
トレンド解析では、周波数ドリフト、PLLの起動トランジェント、または電源変化に対する回路応答など、時間とともに変化するタイミング・パラメータをすばやく知ることができます。
スペクトラム解析では、ジッタの詳細な周波数と振幅、および変調ソースを簡単に、すばやく判別することができます。
隣接したオシレータやクロック、電源ノイズ、信号のクロストークなど、ソースの探索は簡単な作業となりました。プロットはインタラクティブな操作に対応しており、詳細を確認したい部分を拡大したり、プロット上でカーソル測定を実行することもできます。波形およびプロットには、アノテーションを追加して保存できるため、設計チームやサプライヤとの情報共有にも最適です。
アイ・ダイアグラム・マスク・テスト
アイ・ダイアグラムはシリアル信号の評価に最適なデータ表示形式です。ジッタ解析アプリケーションのアイ・ダイアグラム・マスク・テストによるパス/フェイル自動判定機能を組み合わせると、信号振幅やノイズからタイミング・ジッタ、立上り/立下り時間まで、1回のテストですべて検証できます。
5/6シリーズMSOの多くの機能と同様に、マスク・テストのセグメント数は基本的に制限はありません。マスクにセグメントを追加すると、画面右側のマスク・テストの測定結果バッジが展開し、各セグメントのマスク違反(ヒット数)が示されます。
シンプルなアイ・ダイアグラム/マスク・テストのセットアップ
アイ・ダイアグラムのマスクはディスプレイ上のグラフィック領域に構成され、テキスト・ファイルまたはXMLファイルで簡単に定義できます。たとえば、以下の3行のテキスト・ファイルでは、上図のマスクを定義するために、各行に4つのXY座標(時間対電圧)が記述されています。
- :MASK:USER:SEG1:POINTS -80E-9,3.5,80E-9, 3.5,80E-9,4,-80E-9,4;
- :MASK:USER:SEG2:POINTS -35E-9,1.7,0.0,0.5,35E-9,1.7,0.0,3.0;
- :MASK:USER:SEG3:POINTS -80E-9,-0.7,80E-9,-0.7,80E-9,-0.2,-80E-9,-0.2;
週末などにマスク・テストを継続して行う場合、または指定した回数のアクイジションを行う場合も、マスク・ヒットの数はすべて累積されます。違反箇所がグレーのマスク領域の白いピクセルで示され、ヒット数が結果バッジに表示されます。テストが完了すると、合計ヒット数がユーザが設定したしきい値と比較され、テスト結果がパスまたはフェイルで明示されます。
違反箇所をすばやく探し出せる優れたナビゲーション機能
アイ・ダイアグラムのプロットにマスク・ヒットがあると、時間領域波形の対応するポイントに検索マーク(紫の三角)が表示されます。取込みが停止したら、結果バッジの矢印ボタンを使用して、現在のアクイジションのマスク違反が発生した場所を検索できます。
マスク・テストが完了した後に、プロット表示やアイ・ダイアグラム・データ、マスク・ヒット結果をエクスポートし、コンピュータで詳細な解析や文書化を行うこともできます。
ご発注の際は、以下の型名をご使用ください。
新規に機器をご購入される場合
- Opt. 5-DJA
- 新しく購入する5シリーズMSOに拡張ジッタ解析アプリケーションがプリインストール済み
- Opt. 6-DJA
- 新しく購入する6シリーズMSOに拡張ジッタ解析アプリケーションがプリインストール済み
すでにお使いの機器のアップグレード
5シリーズMSOノード・ロック・ライセンス | 5シリーズMSOフローティング・ライセンス | 6シリーズMSOノード・ロック・ライセンス | 6シリーズMSOフローティング・ライセンス | 概要 |
---|---|---|---|---|
SUP5-DJA | SUP5-DJA-FL | SUP6-DJA | SUP6-DJA-FL | ご使用中の機器をアップグレードするための拡張ジッタ解析アプリケーション・ライセンス 1 |
1オプション・ソフトウェアは機器ファームウェアの一部として提供されます。最新版のファームウェアをいつでもダウンロード、インストールできます。オプションのユーザ・マニュアルはオシロスコープ本体のマニュアルに含まれます。