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NISTトレーサビリティ:測定精度の確保

法定の国立標準機関として、 米国国立標準技術研究所(NIST)は、国家測定基準の策定、維持、保護に責任があります。この機関は、米国内で実施された測定が国内の規格と他の国の規格に準拠していることを保証します。このような保証は、指定された参照規格に準じた各種校正に関連する測定プロセスを綿密に記録した文書を通じて確保されます。
 
NISTトレーサビリティの重要なポイントを以下に紹介します。
  • NISTの役割:NISTは、ISO/IEC 17025などの規格に準じた国際単位系(SI)の7つの基本単位に対して国内規格を維持しています。
  • 校正のトレーサビリティ:NISTのトレーサブル校正には、測定プロセスの記録を包括的に維持すること、NIST Special Publication 250に準じて指定された基準規格に従って一連の校正を関連付けることなどが規定されています。
  • テクトロニクスの校正:米国内でテクトロニクスが実施する校正は、ISO 9001およびISO/IEC 17025に準拠し、NISTトレーサブルです。これらの校正はNIST規格に準じて実施され、測定精度が確保されています。
  • 国際校正:米国外で完了した校正は、ISO/IEC 17025などの国際規格に準拠して、関連する国家計量機関に準じてトレーサブルです。

トレーサビリティにおけるNISTポリシーの詳細を見る

計量トレーサビリティ

計量トレーサビリティとは、測定結果が切れ目のない比較の連鎖(測定の不確かさの決定を含む)を通じて、指定された基準に関連付けることができることを指します。基本的には、計測器の測定結果と測定基準の値との間に関係が存在することを保証するものです。テクトロニクスの規格は、SI単位 | NISTに対して直接トレーサブルです。これらの基準はメートル、キログラム、秒、アンペア、ケルビン、モル、カンデラの定義に最も広く使用される国際的な測定システムです。

NIST Calibration

トレーサビリティがグローバル市場に与える影響

測定結果をSIにトレーサブルにすることで、グローバルな貿易市場で求められる確度、精度、互換性を実現します。真に標準化されたコンポーネントを提供するために、産業界は、国際単位系などの認知された測定システムによる追跡が可能な、信頼性・整合性に優れた測定値を必要としています。

ISO準拠

トレーサビリティは、国際標準化機構(ISO)規格の要求事項を遵守しなければならない企業にとっては特に重要です。ISOの要件では、多くの場合、使用される試験/測定/制御機器が認定された国内/国際規格に準拠し、トレーサブルであることが求められています。準拠が求められていない組織/企業であっても、ISO準拠を謳った製品を販売できるように、自主的にISOの要件に従う場合もあります。こうしたコンプライアンスは、通常、サービスおよび品質に対する組織のコミットメントを示す上で重要なものだからです。

NISTトレーサブル校正に関するFAQ

NISTトレーサブル規格とは

NISTトレーサブル校正では、対象のラボまたはメーカーが米国国立標準技術研究所(NIST)規格に準拠して、機器を校正する能力を備えており、メーカーの製品がNISTが維持する測定基準に適合していることを証明します。

NISTトレーサブル校正が重要な理由

NISTトレーサブル校正により、認定を受けた機器からの測定値がNISTが維持する規格に途切れることなくつながり、その連鎖の各ステップに関する不確実性が確認され、文書化されており、これに対処する品質保証プログラムが導入されるようにできます。

NISTの意味

米国国立標準技術研究所は米国商務省内の連邦機関で、国家測定基準を策定・維持し、その基準規格のトレーサビリティを文書化しています。

校正が必要なラボ機器の種類

  1. デジタル・マルチメータ(DMM):エンジニアは大抵、マルチメータを使って、電圧、電流、抵抗を測定します。これらを校正すると、電気測定の確度を保証できます。

  2. オシロスコープ:オシロスコープは、電気信号の解析に不可欠です。校正は、波形品質の維持に必要です。

  3. 圧力測定:エンジニアリング・ラボでは、圧力測定が広く実施されています。圧力計(アナログまたはデジタル)には、定期的な校正が必要です。

  4. 温度センサと温度計:温度センサと温度計の校正は、特に研究および品質管理ラボで、確度の高い温度測定を維持するために不可欠です。

  5. 流量計:流量計は流体動態実験などのさまざまな用途で使われます。高精度の流量測定には、定期的な校正が不可欠です。

  6. 質量収支と計量スケール:エンジニアは大抵、精度の高い質量測定に取り組んでいます。天秤やスケールには、高い確度の重量測定値を得るために校正が必要です。

  7. 力センサとトルク・センサ:機械および材料試験ラボでは、力センサとトルク・センサが使われています。校正により、確度の高い力およびトルク測定が保証されます。

  8. ガス分析計:ガス分析を取り扱うラボ(環境モニタリングや化学解析など)では、ガス分析計を使用していますが、確度の高いガス濃度測定値を得るには、校正が必要です。

  9. pHメーター:化学および生物学ラボでは、pHメータを校正して、様々な溶液のpHを高い確度で測定できるようにしています。

  10. 寸法測定ツール:こうしたツールには、キャリパ、マイクロメータ、高さ計測器などがあり、製造やエンジニアリングの精密測定に使用されています。

  11. 分光光度計:化学解析や材料特性を取り扱うラボでは分光光度計を使用しますが、高い確度の吸光および透過測定を実施するには校正が必要です。

  12. 環境モニタリング機器:湿度、空気品質、放射レベルなどのパラメータの監視に使われる機器は、データ確度を維持するために定期的な校正が必要です。

  13. 振動アナライザ:機械工学や構造工学では、機械や構造の評価に振動アナライザが使われています。この機器を校正することにより、信頼性の高い振動データを確保できます。

  14. パワー・アナライザ:電気工学やエネルギ監視では、確度の高い電力品質とエネルギー消費量データを提供するために、パワー・アナライザの校正が必要です。

  15. ガス・クロマトグラフ:化学および化学工学ラボでは、化合物の高精度の分離と解析を実現するため、ガス・クロマトグラフが校正されています。

  16. 顕微鏡:生物学および材料科学ラボでは、研究や解析に使われる顕微鏡が鮮明な画像と確度を維持するよう、校正が必要です。

認定校正とトレーサブルな校正の違い

認定校正とは、校正ラボが第三者機関の認定を受けており、その範囲で指定されている校正サービスを提供する能力を備えていることを意味します。トレーサブルな校正とは、校正の測定結果がNIST規格に対してトレース可能であることを意味します。

校正の有効期間

校正の有効期間は、校正を受けた項目により異なります。—オシロスコープ、DMM、スペクトラム・アナライザなど—ほとんどの機器では、推奨の校正間隔は約12か月です。統計解析、履歴データ、業界基準などを組み合わせ、機器の重要性、測定確度、コスト効率などの要因を検討して、精度とコストを最適なバランスに保つよう、電気機器に最適な校正間隔を決定してください。ワイブル解析により、校正間隔を計算する方法の詳細をご覧ください。