高速シリアル信号におけるオシロスコープとプロ ーブを使用したアイ・ダイアグラム測定は、被測 定信号をいかに忠実に表示するかが重要な要素と なります。ここでは当社オシロスコープ TDS7704B 型と P7350 型差動プローブおよび Agilent 社オシロスコープ Infiniium 54855Aオシロ スコープ と 1134A プローブを使用してアイ・ダイ アグラム表示を比較します。
アドバンテスト社 Model D3186 パルス・パターン・ ジェネレータからの差動 2.5Gb/s PRBS7 信号を、 各プローブの信号源として使用します。この信号 の立上り時間は図 2 にあるように当社 CSA8000 型 サンプリング・オシロスコープによって観測され た約 50ps です。パルス・パターン・ジェネレータ の出力信号は、50Ωにコントロールされた伝送経 路を持つ正確な差動テスト・フィクスチャにペア で接続され、手動でのプローブ・チップや半田付 けされたプローブ・チップでのプローブによる信 号観測を可能にします。このテスト・フィクスチ ャは VSWR(Voltage Standing Wave Ratio:電圧定 在波比)が小さく、また 18GHz までの平坦な応答 性能があります。
各プローブをテスト・ポイントに接続し、信号を オシロスコープのソフトウエアによりアイ・ダイ アグラム表示させます。 図 3 の当社オシロスコープとプローブによるア イ・ダイアグラム表示と、図4の Agilent 社のア イ・ダイアグラム表示を比較すると、立上り部分 の波形特性が大きく異なっていることがわかりま す。
次に PCI-Express やシリアル ATA などの新規格シ リアル・バスのテストで、最近見られる比較的緩 やかな立上り時間の信号に対するプローブの応答 性能を比較するため、図の様にハードウエアによ るフィルタを信号源からの入力パスに直列に追加 しました。フィルタの追加により信号の立上り時 間は、図 6 にあるように CSA8000 型サンプリン グ・オシロスコープによって観測された約 100ps となりました。
今度は 100ps の立上り時間を持つ信号のアイ・ダ イアグラム表示を比較します。図 7 の当社オシロ スコープとプローブによるアイ・ダイアグラム表 示と、図 8 の Agilent 社のアイ・ダイアグラム表示 を比較すると、当社のアイ・ダイアグラム表示は もとのサンプリング・オシロスコープの表示にか なり近くなっていますが、Agilent 社のアイ・ダイ アグラム表示は立上り部分がなまった、原波形と 大きく異なった波形表示になっているのがわかり ます。
今回の比較測定では、当社オシロスコープ TDS7704B 型(7GHz 帯域)と P7350 型とアジレント 社のオシロスコープ Infiniium 54855A (6GHz 帯 域)と 1134Aプローブ各一台ずつを 使用して実際 に測定しました。同じ機種でも異なった製品番号 のオシロスコープで測定した場合、異なった測定 値を示すことは十分に考えられます。ただし、傾 向としてはそれほど変わらないことが推測されま す。